よくない言葉集

よくない言葉を連ねます。日本語が不自由なので閲覧非推奨です。

Imagination Colors に寄せて

上田麗奈 1st LIVE Imagination Colors に参加した.

上田麗奈 | Lantis web site

上田麗奈さんの「表現」にひたすら圧倒され続けた, のひとことでは済まされない, 壮大な世界を目の当たりにした.

アーティストとしての上田麗奈さんの存在を知ったのは, "Empathy" の発売日. 豪華な作家陣と麗奈さんの感情表現が織りなす春の世界を知り, 次第に興味を持つようになった. 今回は, 自分語りは一旦置き, あえて配信のアーカイブを未視聴の状態で, 思ったことを書き殴る.

「自己表現」の側面が強い楽曲たちについて

自身の経験から創造された景色を, 絵を描くように表現する. 幸せな気持ち, 感謝の気持ち, 辛く, 苦しい気持ち. 役者として活動する中で幾度も自己を見つめてきたことで, 自分自身が一つの芸術へと昇華したもの. これまでは, 楽曲を耳にすることでそうしたものを勝手に想像することしかできなかった.
今回のライブが開催されたことで, この楽曲たちに色が付き, 表情が付き, 動きが付いた. CD を聴いたり, 曲についての話を聴いたりしたときの何十倍も深い感情を受け取った. ライブなのに, 演技を見ているようで, そこに語られるのは道半ばの人生の物語. 特に, "ティーカップ" で, 最初は可愛らしく回って楽しげな表情を見せていたと思えば, 次第に感情が揺らぎ, 苦悩の表情へと堕ちていく様は圧巻だった.

セットリストについて

夢という言葉が表すのは, 抱く理想か, 再構築された記憶か. そんなことを考えてしまうような, 夢の物語. 眠りに落ち, おとぎ話のような優しい世界へと連れられる. "花の雨" や "たより" といった, 心の温まる曲がこの位置に来ることに不安を覚えると, "Falling" で一気に空気が変わり, ありとあらゆる苦しみを味わうことになる. 最も露骨な苦悶を見せる "いつか、また。" が来るまで, ずっと胸が締め付けられていた. そしてそれは, "アイオライト" で世界が明るく色づくことに対して, 他の声優アーティストのライブではまず味わうことのない安心感を覚えるほどだ. そこからは, 明るく可愛い麗奈さんをきちんと受け止めることができた. "あなたの好きなメロディ" を歌いきったときには, ここまで描かれた世界が美しく纏められ, 目覚めるのに十分な夢を見た感覚でいた.
確かに, 残された3曲 "リテラチュア", "Campanula", "Walk on your side" は明らかに方向性が異なる. 曲に「あなた」を見据えてありがとうを伝え, 新しい世界を探す. 「過去」があっての「今」と「この先」という強いメッセージを受け取った. ラジオであれだけいやだいやだと言い続けてきても, 1st ライブを成功させるために大変な練習を乗り越えて, 今日のステージを笑顔で終えた. それだけ頑張ってきたというのに, Walk on your side で「どうしたって過ぎてく 毎日をがんばりたい」と力強く宣言したあの姿は一生忘れられない.



自分の弱い面を受け入れ, 正直に伝える. 完璧ではないからこそ, チームで一つのものを作り上げていく. 様々な過去を乗り越えて, 今がある. ひたすら感情を揺さぶられ, 興奮さめやらぬところではあるが, 生きるのが上手ではない自分にとって, 大切なことを教わったライブだった.






以下, 蛇足.

アーティストとしての存在を知ったのは Empathy のタイミングだが, 麗奈さん自身に興味を持ったのもまたそのタイミングだった. しかし, あまりにもスロースタートだったもので, "ひみつばこ" の初回はギリギリ興味を示さず, 第2回からのリスナーである. 度々話に出る, 初回に泣いた話を知らないという, 今からすれば特大のプレミ. もちろん, 優しい声が好みであったこともあるが, ゆっくりと丁寧に紡ぐ言葉や, あらゆる物事を考えながら日々を過ごす姿勢, リスナーを大事に思う気持ちがとても温かかった. 一方, 曲を聴けば聴くほど, 作家陣の名前だけに留まらない曲の魅力を知ることになる. しかし, 当時は他のことで精一杯で, ライブに行こうとは思わなかった. それからというもの, 事態は二転三転とし, 自分自身の生活も大きく変わっていく中で, 麗奈さんの存在もまた大きくなっていた.
ライブの開催が見送られ, 振替公演が決まったときには, 今度は麗奈さんの音楽を受け止めに足を運ぼうと思った. 次は自分も居場所があるだろうと思っていた. そんな期待も, 動員を50%に縮小されたことでへし折られたが, 配信という形で届けてくれると知らされたときには手を上げて喜んだ. 元々行かないという選択を取った自分にはありがたすぎることだ. いつの間にか本当に好きな音楽の一つとなっていたことから, 少しでも良い環境で楽しみたいと思い, 2万円台のヘッドホンを購入するなどしていた. そんなことをしていたら, 直前になっていつもお世話になっている方からチケットを譲っていただけることに. 今回は誰かの犠牲の上での参加となってしまったが, 上田麗奈さんという素敵な方に出会えて, その姿を自分の目で直接見て, その歌を自分の耳で直接聴いて, 改めて自分の世界は変わったと思った.